Oct 17, 2017

熟柿13

ポスト @ 10:02:24 | エッセー
今朝も、多摩地域は、雨です。
今年の10月は、もう1週間ほど、天候不順です。
関東は、雨模様の寒い日が続いています。

柿の実は、赤く熟柿(じゅくし)になっています。
累々と、たくさんの実が、なっています。
この柿の木も、昔の元に遡れば、たった一粒の種だったのです。
それが、こんなに大きくなって、200も300も、実をつけます。
おどろくべき自然の力です。

一粒の柿の種は、どこに落ちるか、わかりません。
落ちた場所で、芽を出し、葉を大きくし、花を咲かせ、実をつけるでしょう。
芽を出さない種もあるでしょう。
多様な運命を辿ります。
すばらしい自然の力です。

私は、よく寺田寅彦博士の「机上に垂直に立てた一本の鉛筆」を思い出します。
手を離せば、鉛筆はどっちかの方向へ倒れます。
しかし、時を逆転すれば、垂直に立てた一本の鉛筆です。
可能な道は無限に多様です。

私のブログは、きょう、4300回です。日ごろ、お読みくださる方々と、引用させていただく歌人、俳人の皆さんに、感謝いたします。ありがとうございます。

「草の家に柿をおくべき所なし 縁(えん)に盛(も)りあげて明(あか)るく思ほゆ」(赤彦 山村小情 大正14年)
「蜂屋柿(はちやがき)大き小さき盛(も)りあげて 心明(あか)るく眺めわが居り」(赤彦 山村小情 大正14年)

「残された二つ三つが熟柿となる雲のゆきき」(山頭火 雑草風景)
「柿が赤くて住めば住まれる家の木として」(山頭火 雑草風景)

(註)「たとえば一本の鉛筆を垂直に机上に立てて手を離せば鉛筆は倒れるが、それがどの方向に倒れるかはいわゆる偶然が決定するのみで正確な予言は不可能である。しかし時を逆行させる場合にはいろいろな向きに倒れた鉛筆がみんな垂直に起き直るから事柄は簡単になる。」(寺田寅彦「映画の世界像」昭和7年)

「宇宙のエントロピーは次第に減少し、世界は平等から差別へ、涅槃から煩悩へとこの世は進展する。」(同)

Oct 16, 2017

秋刀魚9

ポスト @ 10:45:21 | エッセー
今朝も、多摩地域は、雨が降っています。
空は、どんより灰色です。
シトシト、雨です。

冷たい雨です。
風も、冷たいです。
気温は、真冬並みに低いということです。

秋刀魚(さんま)が旨(うま)い季節です。
秋刀魚ご飯も、旨いです。
水でといだ米に、生姜(しょうが)、昆布茶、醤油、酒、塩を入れて、焼いた秋刀魚をのせて炊きます。
生臭(なまぐさ)さは、生姜で消えます。
焼いた秋刀魚は、秋の味です。

赤い柿(かき)の実が、ぬれています。
葡萄(ぶどう)の茶色の枯葉も、ぬれています。
桜(さくら)の黄色の枯葉も、ぬれています。
寒い秋の日です。

「秋風の遠(とほ)のひびきの聞こゆべき 夜ごろとなれど早く寐(いね)にき」(斎藤茂吉 遠のひびき 小園)
「ひむがしに直(ただ)にい向ふ岡にのぼり 蔵王(ざわう)の山を目守(まも)りてくだる」(斎藤茂吉 遠のひびき 小園)

「いばらの実赤くならむとするころを 金瓶村(かなかめむら)にいまだ起き伏す」(斎藤茂吉 遠のひびき 小園)
「空ひくく疾風(はやて)ふきすぎしあかときに 寂しくもわが心ひらく」(斎藤茂吉 遠のひびき 小園)

「秋刀魚焼き妻はたのしきやわが前に」(加藤楸邨 都塵抄十八 寒雷)
「秋刀魚焼く匂の底へ日は落ちぬ」(加藤楸邨 都塵拾遺 颱風眼 寒雷以後)

Oct 15, 2017

四十雀10

ポスト @ 9:52:31 | エッセー
今朝は、雨が降っています。
冷たい初時雨のようです。
朝方は、ザーザー、雨でした。
今は、シトシト、雨です。

四十雀(しじゅうから)が、やってきました。
頭が黒く、頬(ほほ)が白い、美しい小鳥です。
葡萄(ぶどう)の枯枝を突ついています。
この小鳥に出会うと、なんとも、心が和みます。

葡萄の葉は、茶色に焦げています。
蔦(つた)の葉は、紅葉して、美しい色です。
桜の葉も、黄葉して、散っています。
色々な枯葉を見ても、心が和みます。

「森ふかみ地に落ちきたる硬き実の 枝葉にあたる音はやきかも」(木下利玄 伯耆の大山 紅玉)
「土にまで矮樹(わいじゅ)のしげみ突き穿ち 硬き木の実の真直に落ち来」(木下利玄 伯耆の大山 紅玉)

「若楓揺りつつ鳴くは四十雀」(水原秋櫻子
「連れ鳴きの声こぼしをる四十雀」(上村占魚

Oct 14, 2017

金木犀12

ポスト @ 10:36:25 | エッセー
今朝は、多摩地域は、小雨です。
空は、西も東も、どんより曇っています。
うすい灰色の雲に、おおわれています。
ときどき、パラパラ、雨が降ります。
ときどき、やみます。

雨がやんだ時、散歩に出ると、金木犀(きんもくせい)の香りがします。
いつもの家の庭に咲く、大きな金木犀の香りです。
いつものように、木犀の木が、きれいな形に、刈り込まれています。
あおぎ見ると、いつものように、木犀の金色の小さな花が、いっぱい咲いています。
この花の香りは、小雨の中でも、強く放散します。
この花の香りは、ふしぎに深く、秋を感じさせます。
この花の香りに、出あえて良かったと、命の喜びを感じます。

葡萄(ぶどう)の葉も、茶色になっています。
桜(さくら)の葉も、黄色く紅葉しています。
石垣に這う蔦(つた)の葉も、色づき始めました。
秋は、日一日と、深まっていくようです。

「落葉(おちば)せるさくらがもとにい添(そ)ひたつ 木槿(むくげ)の花の白き秋雨(あきさめ)」(長塚節 詩仙堂 明治三十八年)
「唐鶸(からひは)の雨をさびしみ鳴く庭に 十(と)もとに足らぬ黍(きび)垂れにけり」(長塚節 詩仙堂 明治三十八年)

「家小(ち)さく木犀の香の大いなる」(高野素十
「沈黙は金なり金木犀の金」(有馬朗人

Oct 13, 2017

枝豆12

ポスト @ 10:42:39 | エッセー
今朝は、多摩地域は、曇り空です。
朝から、ぽつぽつ、雨が降っています。
西も東も、うすい灰色の雲に、おおわれています。
うそ寒い天気です。

気温は、大きく下がっています。
きのうは、摂氏28度も、ありました。
きょうは一転、摂氏14度ということです。
一挙に、14度も下がる予報です。
頭が重くなる天気です。

待望の枝豆(えだまめ)をいただきました。
毎年、大阪の小谷猛さんが、送ってくださるものです。
貴重な丹波(たんば)の黒豆の枝豆です。
すばらしい粒々の枝豆です。

鋏(はさみ)で、チョキチョキ、枝から豆を落します。
一束(ひとたば)に、150個ほどの枝豆が、ついています。
さっそく、茹(ゆ)でていただきます。
すばらしい旬(しゅん)の味と香りです。

よく見れば、この枝豆は、黒豆の幼児たちです。
人は、実に残酷だな、と思いながら、感謝して、いただきます。
味噌も醤油も、納豆も煮豆も、何から何まで、大豆のおかげです。
まったく、大豆のおかげで生きていられます。

昔、見た大豆の花を思い浮かべます。
薄紫色の美しい小さな花です。
尊敬するほど、美しい花です。
丹波の黒豆も、美しい花から、実がなるのでしょう。

「枝豆 枝豆 よくはぢく枝豆 
 ぷいと飛んで 三万里  
 月の兎(うさぎ)の目にあてた 
 目つかち兎 よくはぢく枝豆 
 十三夜のお月様」
 (子規 仰臥漫録 俚歌(りか)に擬す 明治34年9月13日)

「枝豆は食ひけり月は見ざりけり」(子規 明治33年)
「枝豆や三寸飛んで口に入る」(子規 明治34年)
「枝豆のつまめばはぢく仕掛かな」(子規 明治34年)

Oct 12, 2017

秋の蝶8

ポスト @ 9:32:31 | エッセー
今朝も、多摩地域は、よく晴れています。
秋晴れの天気です。
青空が、ひろがっています。
雲は、うすい、うすい雲だけです。

朝の太陽が、かがやいています。
秋の日光が、そそいでいます。
赤い柿の実が、光っています。
気温も、高くなりそうです。

小さな黄色の蝶(ちょう)が舞っています。
秋の蝶です。
小さな銀色の蝶もいます。
小灰蝶(しじみちょう)です。

おだやかな空気の自然は、申し分ありません。
秋の蝶が舞う自然は、申し分ありません。
いろいろな蝶が舞う自然は、まだ生態系が生きている感じです。
人もまた、蝶と同じ生態系の一員で、おかげで、生きていられるのでしょう。

「ひむがしへふかき奥入瀬(おいらせ)の谷間より あふれみなぎりし湖(うみ)のうへの雲」(斎藤茂吉 十和田湖 石泉 昭和6年)
「みちのくの山に入り来て 浅川(あさかは)にながるるみづもかなしきろかも」(斎藤茂吉 十和田湖 石泉 昭和6年)

「ひがしより霧わきあふれ かくろへる十和田(とわだ)のうみの奥処(おくが)しらずも」(斎藤茂吉 十和田湖 石泉 昭和6年)
「現身(うつしみ)に沁(し)むしづかさや 旅ながら十和田の湖(うみ)にわれは来にけり」(斎藤茂吉 十和田湖 石泉 昭和6年)

「古ぼけし油絵をかけ秋の蝶」(漱石 明治32年)
「紙漉(かみすき)にうるさがらるる小てふかな」(一茶 文化句帖)
「井の底をちょっと見て来る小てふ哉」(一茶 七番日記)
「香せんをけこぼして行く小てふ哉」(一茶 文政句帖)(註)香せん=餅米を煎って、陳皮、茴香などの香料をまぜ、粉末にしたもの。素湯に入れて飲む。

Oct 11, 2017

秋の蚊10

ポスト @ 10:16:36 | エッセー
今朝も、多摩地域は、晴れています。
きのうより、やや雲が多い朝です。
うっすらと青空も見えています。

薄日(うすび)も射しています。
この3、4日、気温が高い日が続いています。
さっき、蝉の声も、聞こえました。

秋の蚊(か)が出ます。
音を立てずに、飛んできます。
鋭い針で、刺します。
瞬時に、毒を注入します。
叩いても、逃げます。
こんな小さな虫も、大したものです。
鋭い感覚と俊敏さをもっています。
こんな凄い奴を、とても人は発明できないでしょう。

柿の実が、赤く熟しています。
青い柚子(ゆず)の実も、なっています。
鋭い棘(とげ)のある柑橘(かんきつ)の実は、黄色くなっています。

朝顔の花が、まだ咲いています。
うすい藍色の花です。
縷紅草(るこうそう)の花も、見えます。
濃い紅色の小さな花です。
芙蓉(ふよう)の花は、みんな青い実になっています。
小鳥が、キーキー、鳴いています。
静かな秋の日です。

「高空(たかぞら)は細く澄みつつ清けれど 雲のみだれに秋ふけむとす」(斎藤茂吉 柿紅葉 石泉 昭和6年)
「飯(いひ)をへてわれの見てをる ひむがしの蔵王(ざわう)の山は雲にかくりぬ」(斎藤茂吉 柿紅葉 石泉 昭和6年)
「秋の蚊の螫さんとすなり夜明方」(漱石 明治43年)
「秋の蚊の鳴かずなりたる書斎かな」(漱石 明治40年)

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